数学の勉強法

下記に述べる、教科別の勉強法則で、「完璧にマスターする」というフレーズを

使っているが、使用する問題集一冊をやり残すことなく仕上げ、その問題集から

ランダムに問題を選び、1分前後で解法が頭に浮かぶレベルのことである。

数学についての勉強法則

問題集は、1冊を完璧に仕上げ、マスターしてから、次のステップに進むこと。

大切なのは、あまり多くの問題集に手を出さないことである。一冊を、それこそ

何番にどんな問題が載ってたか、覚えるくらいやりきること。それが最も大切。

数より質である。

 

数学が苦手の生徒の場合

理系、文系にかかわらず、数学が苦手、もしくは苦手意識のある生徒は、

まず、参考書方式の問題集(例:マセマシリーズ:下記の問題集説明を参照)で

わからない単元を理解する。

また、『やさしい高校数学』シリーズ(学研)も、初心者向けには良い問題集である。

なぜなら、学校の中間期末試験でいい点を取るためにどの問題をマスターすればよいか、この問題は共通テストでも出題される問題であるなど、情報が豊富であるから。

 

あと、『とってもやさしい数学I・A』(旺文社)シリーズは数学が苦手な生徒のために、IAであげられている単元すべてを、それぞれ大事なところだけできる様になっている。

どこを勉強すればいいのかわからない生徒におすすめ。

また、『直接書き込む やさしい数学ノート』シリーズ(旺文社)も、初心者向け。

ただし、説明が少ないため、教科書とあわせて予習・復習用に使うのがよい。

 

最低3回は繰り返しやること。そのあと、やはり教科書にもどるのがベスト。

教科書は、例題という、最もベーシックな解法が単元ごとに設けられている。

これをしっかり頭に入れ、教科書の練習問題をし、学校で指定されている問題集

の標準問題までマスターすることで、苦手教科というレッテルをとろう。

大学受験に数学がないのであれば、これだけやれば十分である。

 

数学が得意な生徒の場合

文系の生徒であれば、教科書と学校で使用する問題集を完璧にすること。

その上で、自分のレベルの少し上の問題集から完璧に仕上げていくこと。

問題集は、計算力などをあげたい場合は、『チャート式』シリーズ(数研)がおすすめ。

問題数も多く、いろんなパターンの問題が用意されている。

文系の生徒でも、受験に数学があるという生徒は、『基礎問題精講』(旺文社)

シリーズがおすすめ。この問題集を完璧にマスターすれば、国立大学の理系二次試験

にもある程度対応できる学力を身につけることができる。あとは、受験生用に

限られるが、『入試精選問題集 文系数学の良問プラチカ 数学IAIIB』(河合塾)も、大学入試専門問題集としてはおすすめ。

初めは全く手がつけられない様な問題もあるが、入試問題として出題された問題だから、

その現実を受け入れ、根気よくやること。

 

理系の生徒であれば、数学は非常に重要な科目であることは言うまでもなく

進級型ですすめていくこと。IIIまで学習することになるので、高校2年までには、IA、IIB、IIIの複素数平面、

式と曲線あたりまでやっておくと、その後の受験勉強がスムーズに進む。

教科書や学校指定の問題集という基礎はなるべく早くマスターし、なるべく早く

『基礎問題精講』シリーズ(旺文社)をマスターすること。ここまでは、必修である

と考えてもらってもよい。そのあとは、志望校のレベルに応じて問題集を選んで

いくわけだが、『やさしい理系数学』(河合塾)などがおすすめ。高校数学の全分野の

良問がおさめられている。『ハイレベル理系数学』(河合塾)は、超難関大をめざす

のであればやっておくとよい。

 

  • 数学の力を本気でつけたいのなら、高校1年からなら得意な生徒も苦手な生徒も、

毎日、最低30分はする。1時間とれれば十分。 受験生なら、共通テストや

二次試験対策のため、1時間~2時間、数学にとってほしい。受験科目が多い

生徒もいると思いますが、そういう生徒のほとんど理系だから、数学ができないと

非常に不利となるからです。

時間で区切るのがいやなら、問題数をきめてするのでもよい。

問題数は、単元によって一概には言えないが、高校一年からなら一日2~3題程度。

受験生なら、志望校の傾向を考え、一日1~2題をじっくり取り組むのがよい。

 

また、高校1年からなら、予習・復習を欠かさず、理解できない問題は塾の講師に

理解できるまで確認すること。自学自習なら、参考書を何度も読み、理解に努める。

自学自習が厳しい場合は塾に行った方がよい。

受験生の場合、傾向を考え、よく出題される単元を中心に取り組む。問題数より、

一題をじっくり取り組むことが大切である。

 

③ここからは、数学のそれぞれの分野の攻め方を説明するが、勉強方法は②で述べた

ことを心がけること。

IAについて:

高校数学の基礎分野なので、必ずマスターする必要のある分野。

中学数学の延長であるため、中学数学がまだ完璧にマスターできていない生徒は、

Σベストの「基礎からのΣベスト高校これでわかる数学IA」を一通りやるか、

苦手単元だけをやり、中学時代抜けていたところを完璧にしておく。

まず、二次関数でつまずく生徒が多くいると思うが、平方完成やグラフを書く

といった基本をしっかりできる様になること。二次関数はこれができないと、克服

できない単元。また、中学で学んだ二次関数がわからない状態で取り組んでも、

とうてい太刀打ちできない項目であるから、ここでつまずいたら

中学数学の二次関数に一度戻る勇気を持ってほしい。急がば回れである。

 

三角比は、IIで学ぶ三角関数のために必要な単元。sin、cos, tanとは何なのか、

sin、cos、tanに関する基本的な公式など、マスターしなければならない

ことが多くある。ほとんどは暗記であるが、中学数学で学んだ三平方の定理

がおろそかになっているとできない単元なので、三平方の定理があいまいな

生徒は、やはり中学数学を見直してほしい。

場合の数や確率は、P(パーミテーション)、C(コンビネーション)は、その

使い道を間違えないように、問題を見極めること。しかし、やはりこの単元も

中学数学で学習した確率の樹形図が書けないと、解けない問題が多々、ある。

樹形図が書けない生徒は、中学数学で学習した樹形図を書ける様にすること。

数と式に関しては、それほど難しいと感じる生徒は少ないと思われるが、

中学の時とは違い、少し複雑な数式を扱うので、ケアレスミスをしない

しかし、中学では学ばない展開や因数分解も登場するので、

登場するので、これはやり方を覚えたら、何度も教科書の練習問題で練習すること。

あと、注意しなければならない単元は、真偽の判定と、必要条件、十分条件、

必要十分条件の単元。 この単元の難しいところは、数学という科目を超えて

哲学的な要素が入ってくるからである。もちろん、真偽の判定をするのは、

見慣れた数式をもとにしたものだが、それが逆に当たり前すぎて、判定に迷ったり、

反例を出せなかったりする。 しかし必要条件、十分条件、必要十分条件は、真偽の

判定ができるようになればそれほど難しくはない。 真偽の見分け方に関して

真偽する命題で見たこともないような数式を出されることはまずなく、中学数学から見慣れているものが与えられる。

しかし、簡単なものほどまじまじとその数式について考えたことがないが故に、逆にわからなくなる、ということが多々ある。

この分野は、数学全般の理論を考える分野なので、いままで数学を、

ただ機械的に解いてきた生徒にとっては非常にとっつきにくいかもしれない。

目指す大学の難易度にもよるが、まずは問題に出される命題とその真偽や反例を

覚えてしまうことをおすすめする。 というのも、出題される命題は、経験上、あまり多くない。

だから、教科書レベルはもちろんのこと、問題集で出されているものはすべてできる限り暗記してしまうことが一番良い。

 

データーの分析については、中学数学で少し学んだ内容だが、教科書レベルの理解で、

とりあえずは問題はない。

 

図形に関する単元は、定理を覚えることが一番重要である。

教科書で、重要な定理を使った問題の解法をしっかりマスターすること。

定理を覚えることが一番重要である、と上述したが、この単元は、暗記する定理の

内容を証明するをやると、かなり理解が深まる。理解すると、定理を覚えることも

楽になる。さらにいえば、大学受験では、定理の証明を出題するところ(難関大学に多い)もあるので、

する時間があればであるが、定理の証明もおすすめ。

 

整数の性質は、文字通り整数をあつかう単元であり、基本暗記でのりきれないこと

もないが、ある程度のレベルまで理解をしたいなら論理的思考を養うことが必要となる。

最大公約数や最小公倍数など、小学生で学習したことが登場するが、それは基礎知識

であり、そこから論理的な思考が要求されるような展開となっていくので、

教科書でしっかりと暗記と論理的思考の解法の理解をマスターすること。

そのあと、学校指定の問題集をマスターすれば、パターンは決まっているので十分である。

※論理的思考とは機械的にさばくのではなく、どうしてこうなるのか、ということを考え、

答えを導くことの出来る脳のこと)

 

ちなみに、計算力に自信のない生徒や確率に自信のない生徒は、『合格る数学IAIIB』

や『合格る数学 確率+場合の数』という問題集がおすすめ。

複雑な計算問題を効率よく解く方法などを解説してくれているので、苦手な

単元だけでもやっておくとよい。

 

IIBについて:

IIBからが本当の意味での高校数学であるといえる。

なぜなら、中学数学では学習しない分野が多く出てくるからである。

しかし、やはりこのIIBも、中学数学やIAなどの理解に穴があったら、

理解できない単元ばかりである。

 

最初の展開、因数分解は、3乗の因数分解などを学習するが、暗記とすこしの

応用力があれば大丈夫である。 この単元は、教科書や学校指定の問題集で

練習問題を多くやっておくこと。 二項定理、多項定理なども、暗記中心で

あるので、上述と同様のやり方でマスターすること。

 

あと、注意してほしいのは、相加相乗平均。

これは、公式があり、そのまま暗記してしまえば、計算問題などは正解できる。

しかし、この公式は、高校数学の、例えば証明問題などで、多く使われる公式であり、

公式の意味がわかっていなければ使いこなすことのできない公式である。

これを計算ができるという程度で済ませてしまうと、あとあと困ることになるので、

この公式が何を意味しているのか、をしっかり頭に入れておくこと。

そうすれば、のちのち、難問を解く時に大きな味方となってくれる公式である。

 

他に、図形と方程式、指数関数、対数関数、三角関数、微分積分に関しては

IIの中心単元であるから、すべて同レベルに重要である。

やはり、基本は教科書の理解、学校指定の問題集のマスター、あと、

補助としては、マセマシリーズを使っての理解が中心となる。

 

そのあとのIIIは、これらが本当にわかってないと、全く歯が立たないからである。

そこのところを頭において、上っ面だけの理解ではなく、なぜこうなるのか、を

意識して、勉強すること。マセマシリーズの「初めから始める」を

3回は熟読することがおすすめします。

 

Bに関してであるが、この分野を苦手とする生徒が最も多いのではないだろうか。

数列は、始めはそんなに難しくはないが、Σ計算、群数列、階差数列、漸化式と、

すすむにつれて、どんどんややこしくなっていく。 この単元を克服するためには

文系の生徒も理系の生徒も、マセマシリーズなどの参考書タイプの問題集で

考え方を理解し、教科書や学校指定の問題集を完璧マスターすること。

 

あと、言わずと知れたベクトルだが、得意とする生徒と苦手とする生徒が

真っ二つに分かれ、苦手とする生徒の方が圧倒的に多い単元である。

大きさと向きを数式化する、という少し物理的な要素が入っているため、その他の

単元とは少し違った思考が必要となるからかもしれない。

しかし、これもマセマシリーズなどの参考書タイプの問題集で、新しい分野の思考

を深めると、考え方さえ理解してしまえば、あとはそれほど難解ではないので、

あきらめずに取り組んでほしい。

 

ちなみに、IIBでの計算力を養うための問題集、『合格る数学IAIIB』(Σベスト)が

あるので、とくに受験で数学が必要な生徒で計算力に自信のない生徒は、

苦手な単元だけでいいので、やっておくとよい。

 

IIIについて:

理系の生徒にとっては、非常に重要な分野である。

理系大学の受験(特に難関大学)では、入試問題の半分以上がIIIから出題されているからである。

IAIIBの理解なしでできないのはもちろんだが、だからといってそれだけでは

IIIをものにすることはできない。特別な勉強方法で理系脳を育てることが必要とされる。

理系脳とは、一言でいうと、ひらめきである。この問題に必要な数式は何か、というひらめきである。

これを育てるに、近道はない。やはり、数学に自身のレベルや志望校に合わせた労力、時間をかけること。

それだけである。

勉強の仕方は、上述の2を参考に、自分に合ったやり方を見つけること。

地道に一問一問、丁寧に問題に取り組むこと。数学に近道はない。

 

数学IIIには暗記部分も多いが、それだけではほとんどの問題は解けない。

なぜそうなるのかという理解力が必要となってくる。

その力を養うために、理論的な説明に重点を置いた参考書兼問題集(例えばマセマシリーズ等)をまず、マスターすること。

その上で、『基礎問題精講III』(旺文社)などの良質な問題集を完璧に仕上げる。

 

また、受験生対応として、『入試精選問題集 理系数学の良問プラチカ 数学III』

(河合塾)は受験対策問題集としておすすめ。数学IIIの内容をすべて網羅して

いないが、最もよく出題される微積分の考え方を身につけるのに良い。

 

さらに、IIIは、高度な計算力が必要である。

積分の単元では、計算力に加え、いろいろある積分計算方法のどれを使えばいいのか、

問題によって見極めなければならない。

IIIの計算力を養うための問題集でよいものが出ているので、一冊完璧をにやって

おくとよい。 おすすめは、『合格る計算 数学III』(Σベスト)。

かなり役に立つはずである。計算式は立てられるのに、計算段階で無駄なやり方を

してミスにつながってしまうケースなどを取り上げ、効率のよい計算方法を

丁寧に示してくれている。

 

④ 高校数学は、基本、暗記であるが、暗記だけに頼っては、多くの時間を費やして

しまうので、公式等の暗記は最小限にとどめ、あとは問題に応じて公式を変形する。

 

どうしても、それができない場合は、最終手段として公式の丸暗記をする。

その際、絶対間違えずに暗記すること。

本番の試験は緊張の中でするものなので、ど忘れしてしまったりするアクシデントが

多々、あるからである。

 

IIBは、文系の生徒も必修であることが多いため、教科の中でも大きな負担を

強いられる分野でもある。

 

特に数列はIIIの極限と密接に関係し、三角関数や指数関数ができなければ

IIIの微積はできない。 IIBを上っ面だけの理解で終わってしまうと、

IIIを理解することはとうてい無理であるといってよい。

 

高校数学は、地道に努力すれば、克服できる。

ずば抜けた数学的才能がなくても、問題はない。

繰り返すが、いかに一つ一つの問題を丁寧に取り組み、それを継続することが

できるか、が一番大切なことである。

 

⑤数学のおすすめ問題集について、上述した文章の中で述べたものもあり、重複するが、

マセマシリーズについてはそのレベル等を説明しておく。また、共通テストに

役立つ問題集もいくつか紹介する。

 

・マセマシリーズ ― 「東大生が一番読んでいる参考書」であるが、だからといって

それは内容が難解であるという意味ではなく、むしろその

逆で、内容が非常にわかりやすいから、読まれているのである。

参考書とあるが、問題集でもあるので、指示にしたがって

すすめていくと、効率よくすすめることができる。

 

数学が全く苦手な生徒の場合、『初めから始める数学』シリー

ズに取り組む。取り組み方は、最低三回はやり返すこと。

 

はできる。最低三回と言ったが、わからなければ、四回以上も

あり。

『初めから解ける数学問題集』シリーズは、数学の基礎力を

定着させるのに使うとよい。 教科書より少し上ぐらいの

レベルだと思ってよい。これも最低三回はすること。

実際、マセマもすべてマセマシリーズで三回することを

 

『元気が出る数学』シリーズは、入試に必要な基礎力を

つけるための問題集。易しい国公立大~私大合格レベル。

 

『合格!数学』シリーズは、ほとんどの国公立大~有名私大

レベル。数学の初歩的応用力をつけるのに、適した問題集。

 

『合格!数学実力UP問題集』シリーズは、上述した『合格!数学』シリーズをもう少し掘り下げて、

さらに数学応用力をつけるための問題集。

 

『頻出レベル数学』シリーズは、北大、東北大、大阪大学、

九州大、早稲田大、慶応大レベル。大学が限定されているので、

この中に志望校があるなら、この問題集をやることはおすすめ。

 

『ハイレベル数学』シリーズは、日本の超難関大である、

東大、京大、東工大、一橋大合格レベル。マセマシリーズ

では最も難しい問題集であるから、この大学に関係のない

生徒は、やる必要はない

 

『共通テスト数学』シリーズは、センター試験の必要な生徒

におすすめ。共通テストをもとに、効率的な問題の

解き方を丁寧に説明してくれている。

 

  • 共通テスト対策は、結局のところセンターの過去問を解きまくることに尽きるが、それまでにやはり、自身のレベルにあったセンター対策問題集をしなければ効率が悪くなる。

共通テスト試験は、基本、難解な問題はないが、時間との戦いである故、

①で上述したひらめきがものをいう。 また、マークシート問題なので、

問題形式に慣れるために、数学の得意な生徒であっても、高得点を取るため

必ず取り組んでほしい。

 

『チャート式 センター対策 数学IAIIB』(数研)― マークシート式の

問題が各単元ごとに厳選されていて、解説も豊富。例題があり、それに関連した

問題が数題用意されている。

 

『チャート式 文系・センター対策 数学IAIIB 入試必携 168』(数研)―

168の例題が厳選されていて、センターだけでなく、文系大学入試にも対応して

いる。数学にあまり時間をかけられない生徒が、短時間で効率良く単元の整理が

できるようになっていて、受験生だけでなく、通常の学習にも自身の理解度を

確認するためにも利用できる。

 

『マーク式基礎問題集 数学IA』や『マーク式基礎問題集 数学IIB』 ―

これも共通テストだけでなく、マーク式を導入している私大対策にもなる。

レベルは、センター数学80点程度を狙える様にまとめられている。

チャート式より問題数は少ないが、解説は非常に詳しくまとめられており、

受験生には最適である。