幻想に惑わされない合格体験記のよみかた

無駄な努力をしないで志望大学合格を勝ち取る秘訣

先輩方の合格体験記は、読み方を間違えなければ受験勉強の指針になります。

志望校や苦手科目、受験勉強を始めた時期などの共通点があるものを選びましょう。

勉強量や教材のほか、失敗や反省点も参考になります。

 

◎合格者の生の声はモチベーションアップに有効 

現役学生にとっては、大学受験は初めての経験で自分の力で臨む大きな挑戦です。

未知の試験への不安を解消するためには、受験情報が有効です。入試の出題傾向や模試などは、受験勉強を進めていくなかで指針となる必須のものです。

対して、実際に受験した先輩たちの合格体験記は精神面での支えとなる性質のものです。

使いようによっては、たるみがちな気持ちを奮い立たせてくれるカンフル剤となります。

3年まで部活動に勤しんでいても合格した人。偏差値が40台でも一発逆転できた人。ほとんど勉強しなくても独自の学習法を駆使して難関突破した人など…。

なかかなか成績が上がらずくじけそうになっている時には、合格者の生の声は励みになるものです。

「次は自分も」とモチベーション向上にもつながります。使いようによっては、積極的に活用したい情報が合格体験記です。

 

◎合格体験記が妥当かどうか判断する力が必要

ただし、使い方を間違えると逆効果にもなりかねません。

合格体験記といっても、その中身は玉石混合。客観性に欠けていたり、普遍性がなかったりするものも紛れ込んでいます。

合格した喜びから、悪気無しに誇張して表現されることもあります。

何の気構えもなしにすべてを鵜呑みにしてしまうと、かえって混乱してしまうことが多々あるのです。

極端な勉強法をそのまま真似してしまえば、合格が遠のいてしまうことさえあります。

そうならないためにも、合格体験記を読む際には気を付けて欲しいポイントがあります。

 

◎大前提として、体験記を鵜呑みにしないこと

書いている学生の置かれている境遇や地頭の良さ、その年の試験の難易度も自分と同じではありません。

また、余裕をもってトップクラスで合格した人なのか、合格ラインすれすれで引っかかったのかで、聞く側の心構えも変わってきますよね。

体験記を書くタイミングは合格から間もない頃です。

長期間の努力が実を結んだ興奮から、どうしても表現が誇張される傾向があります。

例えば、週末だけ睡眠時間を削って勉強していたことを、「連日わずかな睡眠時間でひたすら勉強した」などとオーバーに書いてしまうのです。

逆に、必死になって机にかじりついたとしても、たいして努力しなくても受かってしまう自分という演出をする学生もいます。

実際にはボロボロになるまで過去問題をやりこんだのに、「受験直前にざっと過去問をやっただけ」と格好をつけて書いているであろう体験記もちらほら見かけます。

自分と境遇が違う学生のやり方や、誇張表現された学習量を素直に信じてお手本にしたらどうなるでしょう。

合格体験記は、あくまでその受験生が上手くいった方法を紹介しているものです。

適している勉強法は各々異なっています。自分に合わないやり方で、とんだ回り道をする羽目になるかもしれません。

とりわけ、突飛な方法で合格した人の体験記は眉唾ものです。

振り回されないためには、体験記の中から自分に役立つ部分のみを取捨選択していくことが大切です。

 

◎現実的で実現可能な情報を集めていく

勉強の息抜きとしての読み物という位置づけならば、気の向くまま好きに読み進めても構いません。

しかし、自分の受験に役立てたいのならば、お手本にできる体験記に注目しましょう。

体験記は学校や塾、インターネット上で出回っていますが、読む際には出どころも気にして下さい。

学校などが発行していて、顔写真や学校名、氏名が記載されているものならまず信用が置けます。

匿名で内容も短いものは、編集されているのでどこまで信ぴょう性があるかは疑問です。

直接話を聞ける先輩がいるのならば、積極的に協力をお願いしましょう。

基準とするのは、自分と共通点が多いもの。志望校が同じで、苦手科目やもともとの成績レベルまで似ているものであれば、書かれている学習方法もお手本にできる可能性が上がります。

できれば、先輩が受験までに各科目をどのような配分で何時間くらい勉強していたのか大まかに推測できる体験記が理想的です。

受験勉強に本格的に取り組んだ時期。毎日の学習スケジュールや使った参考書、過去問は何年分までさかのぼったかまで分かれば、具体的な課題の量が掴めます。

そして、体験記ではどんなに努力したか、どういう方法をとったかに注目がいきがちです。

しかし、普遍的なエッセンスは成功体験よりも失敗や反省にこそ隠れているのです。

体験談の学習法をなぞったからといって、誰もが同じように合格できる訳ではありません。

勉強する時間ひとつとっても、朝型が向いている人もいれば夜の方が集中できる人もいます。

他人の合格法が自分に完全に一致することはあり得ないのです。あくまで、方向性を近づけていくようにしましょう。

対して、合格者が失敗だったと反省していることは多くの受験生に共通することです。

受験までのスケジュールを組まなかった。直前になっても苦手科目にこだわり過ぎた。分からない部分をそのままにしていた…。

これらの失敗は多くの受験生が通る道です。

つまずきがちなポイントをあらかじめ知ることで、合格への道が近づきます。他山の石として教訓にしましょう。

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