脳の機能は「忘れて当然」

学生、また学生に限らず日々生活を生きる人々の多くが一度は経験する「忘れる」という現象。これに悩まされている人々は多くいます。

しかし、これはほとんどの場合脳の欠陥ではありません。科学的視点から言うと、脳は「覚える」よりも「忘れる」ことの方を優先させるからです。これには以下の様な理由があります。

人間の脳には約1000億個の神経細胞があることがわかっています。「記憶」だけでなく、「忘れる」こと、人間の喜怒哀楽など人間の行動すべてが神経細胞の機能によって行われています。そして、その人間の行動すべてを脳が記憶したとしたら、たった五分以内で限界に達してしまいます。1000億個の神経細胞があると言っても、脳の容量はその程度です。そのため、脳は入ってきた情報のほとんどを記憶しないで、消去しています。

脳の性質が、「覚える」ことよりも「忘れる」ほうを得意としているのであれば、それはそれで仕方のないことです。なのに、「自分は暗記が出来ない」といってストレスをため込んだりすると逆効果です。ストレスは、記憶にとって天敵ともいえる存在です。ストレスを感じると人の身体は「グルココルチコイド」という悪いホルモンを分泌し、記憶力を低下させてしまうからです。